決断を全うすべきもの
ラトレルが原作を執筆したのは、「海軍の上司が情報開示の意味合いで『後世に記録を残さなければならない』として、私に任務として命じましたから」と、実に味気ないものだった。自身も足を銃撃され、断崖絶壁を転がり落ち、背骨を折り、骨盤にはひびが入り、結果的にあれだけの分厚い原作を脱稿することになっても、本当に何も感じなかったのかと重ねて問うと、ラトレルは「命令されたから書いただけです。ただ、映画を通して戦争を肯定したり、海軍を宣伝するつもりもありません。私たち米国人が抱く同胞たちへの哀惜の念を描いた作品なのです」と、苦しそうな表情を浮かべ絞り出すように答えてくれた。
ヤギ飼いを殺害せず、見逃したことが作戦の成否のかぎを握る分岐点となったことは、誰が見ても想像に難くない。ラトレルの考えは、一切の感情を廃し、現実主義的な視点で物事と向き合う、いかにも軍人らしいものだった。刻々と状況が変化し、次々と決断を迫られるのが戦場であることを踏まえ、「結果の成否は別にして、決断を下さないという行為は一番避けなければならない。軍人の仕事は、一度決断したら、決断を全うすべきものなのです」と説明した。