土嚢(どのう)や古タイヤを積み上げただけの検問所には、ロシア国旗が掲げられ、ロシア側に転向したウクライナの特殊部隊「ベルクト」元隊員らが、自動小銃を手に車を1台ずつ調べていた。全乗員のパスポートや持ち物検査まで行うため、“国境”を挟んで両方向に数キロに及ぶ車列ができていた。4時間以上、待たなければ検問を通過できない。
「新しい国境警備隊の隊長」という男は、銀色のゴーグルにマスクを付けて顔を隠したまま、「まだ完全な国境ではない。クリミアから現金などが持ち出されないよう見張っている。ウクライナ側からは武器や麻薬が流入するのを防いでいる」と語った。
道路には、ロシア軍のものとみられる戦車30台以上が止まっていた。戦車の上から走行車両に勝利のVサインを送る兵士の姿も。
住民たちは「生鮮食料品が入ってこなくなった」「この夏にはウクライナからの観光客は来ないだろう」と、うんざりした様子で吐き捨てた。