東日本大震災からの復興を引っぱるリーダーの育成を目的に設立された「グロービス経営大学院仙台校」では、実践的なプログラムが提供されている(日本財団撮影)【拡大】
町の中と外をつなぐため、日本全国を奔走する小松さんは仙台出身で、震災前は東京に本社を置く大手企業の北海道支社に勤めていた。震災後、「地元の復興に携わりたい」という思いが強まり、11年9月に退職。被災地を回る中で、女川町復興連絡協議会に参加し、13年4月には企業再建や新規事業の立ち上げを支援するNPOも立ち上げた。
「走りながら考えるタイプ」と自己分析する小松さんは、仙台校での学習を、赤字だったホテルの抜本的な収支計画の見直しなどに役立てたという。NPOの運営でも、「人を育て、組織をつくる」ことを意識した仕事の進め方を実践するようになった。さらには授業で知ったことがきっかけとなり、女川版「TABLE FOR TWO」といった新しい企画も次々に打ち出している。
「人への投資」を意識
小松さんに限らず奨学生の多くは、学んだことを活用する事業や活動がはっきりとしている。福島県いわき市で商店街再生と福島県産米を使ったライスバーガーの国内外での販売に挑戦したり、津波で壊滅的被害を受けた宮城県亘理町で、高級ブランド・イチゴの生産や商品開発を手掛けたりと、復興に貢献することを念頭に学んでいる。その向学心の背景には、現場で感じた危機感や使命感がある。