私は、単におしゃれな暮らしや懐古主義の観点から、現実離れした古き良き生活習慣を勧めたいのではない。現代社会において、日々の中でこなさなければならないことが山積の現実を考えれば、たとえ30分でも一つのことに時間を取られるということは避けられるなら避けたいというのは、自然な考えだ。
しかし、合理性や効率のみを追求して日々過ごしているわけではないだろう。忙しい毎日を過ごしながらも、自らを見つめるため、リフレッシュのため、あるいは新しいアイデアの糧とするため、個々で選択は異なるが、われわれは“無駄な時間”を楽しんでいる。スポーツ、読書、旅、買い物など、数あるこの時間の過ごし方の選択肢に、是非“釜でご飯を炊く”を追加していただきたい。他の選択肢に劣ることなく、貴方の人生をより楽しくし、何よりも素晴らしい食卓を体験できるであろう。