「自家製アンドゥイエット5A_マスタード添え」(2160円)は、大腸や胃袋などを直腸などを小腸に詰め込んだ店自慢の逸品。本場の美食家団体から最高ランクのお墨付きをもらった。独特の味わいが癖になる人も多い【拡大】
苦く甘い「血のソーセージ」
また、見かけの黒さに驚かされるソーセージは「ブータンノワール(血のソーセージ)」。湯がいてあるので、血の色が赤から黒になるのだとか。血と聞いて思わず腰が引けたが、さっくりと切れて断面はなめらか。思わず見ほれてしまう。添えられたリンゴジャムと一緒にいただくと、細かな舌触りのレバーのような、苦みに甘さが加わる複雑な味わい。
「自家製ハム ソーセージ(サボデ) レンズ豆の煮込み」のサボデは、豚の顔の肉を使って作られたソーセージ。たっぷりのレンズ豆が添えられている。「豚は鳴き声以外は全て食べられる、とよく言われるでしょう。血やホルモンもうまく使っているんですよ」と言われて納得。
丁寧な下ごしらえ
リヨン地方はフランス東部に位置し、ローヌ川とソーヌ川が合流する流通の要衝で、パリに運ばれる食材の多くがここを通過した。リヨン市は美食の街として花開いたが、庶民の料理は内臓やローヌ川から取れるカワカマスなどの淡水魚がベース。世界大戦の勃発や産業の発展で、男性が重労働に従事していたとき、街の味を支えていたのは「リヨンの母」と呼ばれる女性たちだったという。家庭料理とブルジョア料理を融合させて作り出した素朴で質の高い料理が根付いているという。