首相に置き換えれば、政界で頂点に登り立った現在の政治環境は言うまでもなく、議員バッジを胸に政治活動をしている期間にどんな「四時の循環」が繰り広げられたか、ということが重要だろう。政治家として、首相として、何をなしたか、という充実感と裏腹だともいえる。
対韓、対中外交は膠着(こうちゃく)状態に陥っているものの、4月24日の日米首脳会談では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に関し、日米安保条約に基づく米側の防衛義務を確認するなど、日本外交の基軸となる日米関係は良好のようだ。集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更などこれからヤマ場を迎える課題は山積しているものの、おぼろながらも着地点が見え始めている。
だが、あれほどこだわっていた旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野談話の見直しは、自身の内閣では行わないと断言した。これは首相の心象に照らせば、「一丁目一番地」の理念だったはずだ。後事を託すに足る政治家が渇望されるゆえんである。