ましてや、首相の総裁再選後に行われる16年夏の参院選と12月に任期満了となる衆院選が終われば、18年9月の総裁任期を待たずして「首相は死に体」と見なされる。今は首相と近くても、「次」を見越して距離を置き始める向きも出てこよう。
「留魂録」には、後継者にかかわる下りもある。
「同志諸君が私の志を継いでくれるなら、それは蒔(ま)いた種が立派に育つことを意味している」
首相は先の書籍で、松陰が主宰した松下村塾の塾生だった高杉晋作や伊藤博文らを念頭に置いているのだろう、と指摘している。さて、今の首相の支持勢力に、高杉や伊藤に匹敵する才覚、度量、識見のある政治家はいるか。ドングリの背比べでは、首相も実りある「四時の循環」とはいかない。(松本浩史/SANKEI EXPRESS)