先進7カ国(G7)の結束を乱すわけにはいかない。さりとて北方領土問題解決に向け対露外交を重視してきた安倍政権としては、ロシアと真剣でことを構えたくない。尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「力ずく」で狙う中国の動きを踏まえれば、ロシアの横暴は到底容認できないが、制裁に反発したロシアが中国に接近する事態も阻止しなければならない-。安倍政権がロシアに配慮し、G7の共闘を“演出”する程度の「緩い制裁」にとどめている背景には、そんな事情が見え隠れする。
なにせ安倍晋三首相(59)はウラジーミル・プーチン大統領(61)との厚い「信頼関係」が自慢らしい。第1次政権で3回、第2次政権では発足1年4カ月余で5回も首脳会談を行っている。在任中の領土問題解決を掲げる首相には、プーチン氏がよほど「話せる相手」に映っているのだろう。4月下旬に予定されていた岸田文雄外相によるモスクワ訪問は延期されたが、ぎりぎりまで実現にこだわったのも首相だった。