注目すべきはそのむき出しの女心。結婚の14カ月前にあたる52年7月の書簡では、その野心の大きさと、女性たちと派手に遊びまくる不誠実ぶりから、当時、下院議員だった彼を「マクベスのようだ」と非難。さらに「彼は私の父のような道のりにいる。結婚した途端、まだ自分には(他の女性を惹(ひ)き付ける)魅力があると証明しようとするだろう」と書いた。ウォール街の株式ブローカーで、派手な女性関係で知られた父のようになるのではと恐れていたことが分かる。
結婚(53年9月)を間近に控えた23歳の頃の書簡でも「地味でちっぽけな主婦ではなく、運命の人ときらびやかな王位の世界にいる自分を思い描いていました…そんな世界は一般社会よりとても魅力的ですが、一度そこに足を踏み入れたら孤独で、そこは地獄にもなり得ます」と、揺れ動く心情を吐露(とろ)。
暗殺で喪失感
そして63年11月、ケネディ大統領の暗殺事件が起こる。ジャクリーンさんのショックは想像以上に大きく、64年1月の書簡で「神を本当に恨んでいる」と書き、こう続けた。「日に日に気持ちがひどくなり、喪失感を感じています。ジャック(夫)ではなく、むしろ自分が命を落とせばよかったと思うことが度々あります。そして苦痛の中で子育てしたくありません」