同じ風景が見える曲に
そのなかで、音楽を生業にしている彼女特有の気持ちをつづった曲がある。自分にとっての音楽の在り方を歌う「MUSIC」という曲だ。「音楽なんか聴きたくはない」と突き放すように歌うが、それでもやはり同じ音楽に救われる自分自身を歌っている。この曲について本人は「私って面倒くさいなぁと思います」と笑う。音楽を単純に好きで救われて、というポジティブな部分だけではなく、時には離れたいと思う複雑な心境こそ、アーティストとしてのリアルであろう。それをそのままさらけ出しているところが、とても彼女らしいと感じた。
そんな歌詞へのこだわりについて、「この言葉、言いたい!」という単語、フレーズは日々ノートに書き留めているという。「言葉選びは以前より慎重になった。ラジオなどを通して、顔の見えない相手にも、自分の頭の中の風景とできるだけ同じものが見える曲を書きたいと思っています」と言う。
レコーディングの途中でもぎりぎりまで歌詞の手直しを加え、納得いく表現にしていく作業に時間を費やした。