中国・上海で開かれていたアジア信頼醸成措置会議(CICA)の首脳会議は5月21日、各国間の対話強化などを盛り込んだ「上海宣言」を採択し、閉幕した。中国の習近平国家主席(60)は会議で「アジアの安全はアジアの人民が守らなければならない」と演説し、米国の影響力を排して自国主導の安全保障体制づくりを進める「新アジア安全観」を提唱した。先進7カ国(G7)が加盟していないCICAを利用し、米国への安全保障上の対抗軸とする中国の姿勢が浮き彫りとなった。
習氏は演説で「いかなる国家も安全保障を独占し、他国の正当な権益を侵害することはできない」と述べ、アジア重視のリバランス(再均衡)政策を掲げる米国を牽制(けんせい)。「自らの絶対的な安全のために他国の安全を犠牲にすることは許されない」と対抗意識をあらわにした。
また、フィリピンや日本など米国の同盟国を念頭に「第三者の軍事同盟を強化することは、地域の安全保障にとってマイナスだ」と圧力を加えた。