ただ、そうした改革だけで電機部門が黒字に戻るかは予断を許さない。
テレビは1600万台(14年3月期は1350万台)の販売を見込むが、力を入れる「4K」テレビは価格下落が加速。「プレイステーション4」が好調なゲームも、米マイクロソフトが値下げで対抗するなど取り巻く環境は厳しい。
娯楽、金融も本業
一方で、平井社長は「娯楽、金融もソニーにとって本業だ」と強調。16年3月期以降、電機は「売り上げを拡大するより収益を追う」と述べた。
期待するのが、市場拡大が見込めるインターネットを使ったビジネスだ。スマホやテレビなどへの音楽・映画配信、ゲームの課金など、グループに電機や音楽・映画部門を持つ強みを生かす。ただ、現在の売り上げ規模は2000億円程度で、「成長エンジン」に育つには時間がかかる。
市場では構造改革に「踏み込みが足りない」(証券アナリスト)との声は少なくない。今回の経営方針説明会に関係者には「サプライズがないのがサプライズ」と厳しい見方もある。
ライバルが事業拡大を打ち出す中、ソニーは成長戦略の手前で立ち止まっている状況で、就任3年目を迎えた平井社長は崖っぷちに立っている。