今市事件の容疑者逮捕について、阿部暢夫刑事部長(左)らが記者会見した=2014年6月3日午後、栃木県日光市の今市署(桑島浩任撮影)【拡大】
≪パソコンのビデオ画像が決め手≫
事件から8年半。難航していた事件は、今年1月に偽ブランド品を販売した商標法違反容疑で栃木県警が勝又拓哉容疑者を逮捕したことで流れが変わった。
県警はプロファイリング(犯人像推定)で、ある人物を描いていた。「性犯罪前歴者、女児愛好者、猟奇・アダルトビデオやナイフのマニア」「連れ去り現場から半径5キロの範囲に住む20~40代の男」
勝又容疑者が捜査線上に浮上したのは、事件から数カ月後と早い段階だった。現場で目撃された白いセダンタイプの車を所有するなど捜査の網に入っていた。その後も「無職で引きこもりの男が連れ去り現場付近に住んでいる」との不審者情報が地元住民から寄せられたが、「相当数いた捜査対象者の一人に過ぎなかった」(県警幹部)。
事件が大きく動き出したのは今年に入ってからだ。勝又容疑者が商標法違反事件の起訴後の取り調べで、「有希ちゃんを連れ去って刺して、茨城の山林に遺棄しました」と供述した。しかし、数日後には事件について話さなくなり、核心部分にも「忘れた」「記憶がない」などと繰り返した。具体的な供述が払底した苦しい状況のもとで、捜査本部は“決定打”となる物証を捜した。