自分の心の奥底にある感情を紡ぐ歌詞の世界観を得意としているシンガー・ソングライターは、作詞の作業になると自分の内面にとことん向き合うため、苦しい作業をしているのだと本人に聞いたことがある。
5月21日にリリースされたNIKIIEのニューアルバムは、自分の心の中に入り込んで悲しみや切なさなど、感情の揺れを表現している一方で、広い世界に飛び出していくような開けた表現が印象的に受け止められる曲が心に残った。
「前作を出してから、空っぽになってしまい、自分が何を歌ってどんな曲を作ればよいのか見えなくなってしまっていた」と、本人は振り返る。作り始めれば煮詰まり、行き詰まってしまう。そんな繰り返しから脱却できたのは、旅行がきっかけだったという。
「思い切ってスペインに旅行に行ったんです。ガウディの建築やさまざまな美術を見て、狭くなった視野、迷っていたものが吹っ切れたんです」