日本(にっぽん)維新の会の「分党」について大阪市で記者会見する橋下(はしもと)徹共同代表(左)と国会内で新党参加者のリストを示す石原慎太郎共同代表=2014年6月5日(共同)【拡大】
【安倍政権考】
ある野党の幹部と最近、意見交換していて非常にがっかりしたことがある。名は伏せるが、この幹部は野党再編志向の強い党に属している議員歴数年の若手議員だった。この党とはいつまでに組みたいとか、あの議員集団に声を掛けているが、誰々は来ないだろう、などといった足し算・引き算のような話は生き生きと熱く語る。一方で、話題が政策や理念になると急に目が濁り出す。
「今の党をなくしてまで新しい党を作りたい理由は何か」と聞いても、「野党再編の旗は何か」と詰め寄っても「そんなものは後から考えればいいことだ」と言うばかりなのだ。
「数の論理」の信奉者
かつて旧民社党の委員長、春日一幸氏は「理屈は後から貨車で付いてくる」と発言し、物議を醸したことがある。海千山千のベテラン議員にはイデオロギーや政策より、現実的な判断を優先する「数の論理」の信奉者が大勢いた。政策や理念を尋ねる者がいれば「女学生みたいな、甘ったるいことをいってんじゃない」と本音をむき出しにしていたものだ。