今回の2訴訟で最大の争点は「民法の嫡出推定をDNA型鑑定で破ることができるかどうか」だ。民法は772条で嫡出推定を規定する一方、嫡出推定を覆す手段として嫡出否認の訴えを定めている。ただし、訴えを起こせるのは夫だけで、提訴期間も「子の出生を知ったときから1年以内」に限られる。
判例では、夫が遠隔地で暮らしているなど明らかに夫婦関係がない場合などには例外的に「推定が及ばない子」として扱われるケースもあったが、2訴訟ではこうした事情はなかった。
関西訴訟は、夫が単身赴任中に妻が妊娠。お宮参りや保育園行事などに家族として参加していたが、妻が別の男性と交際していることが発覚した。妻が子を連れて家を出ていき、今は交際相手とともに生活しているという。北海道訴訟では、結婚約10年後に妻が出産し、夫の子として出生届を出したが、その後、離婚が成立した。
DNA型という客観的なデータで生物学上の血縁関係が明らかになる一方、鑑定だけで父子関係が覆されれば「子が法律的に不安定な状態に置かれる」との懸念もあり、最高裁の判断が注目される。