TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐる閣僚会合での共同記者会見を終え、言葉を交わすマイケル・フロマン米通商代表(左)と甘利明(あまり・あきら)TPP担当相=2014年5月20日、シンガポール(共同)【拡大】
中間選挙控え慎重な議会
米議会でも慎重論は残る。TPPで市場開放を迫られる米国の自動車産業が警戒感を強めていることもあり、自動車産業が集積するミシガン州選出の議員らを中心としてTPPへの反発は強い。民主党のハリー・リード上院院内総務(74)は1月に超党派の議員グループが提出した大統領に通商交渉での強い権限を与える「貿易促進権限(TPA)」法の審議を棚上げしたきりだ。
オバマ政権はTPPで日本市場への輸出拡大だけでなく、知的財産保護などでの米国主導のルール作りも目指す。ここに来て関税撤廃を否定する日本の立場に一定の理解を示すのは、経済成長の後押しが期待できるTPP合意を11月の中間選挙に向けた得点にしたいとの思惑があるからだ。しかし行きすぎた譲歩は議会との関係を難しくしかねず、日本との間の溝は埋め切れないのが現状といえる。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)