防衛装備品の展示会「ユーロサトリ」に初出展した日本パビリオンで、出展企業の関係者(右)から訓練用のゴム製銃の説明を受ける来場者。日本の防衛産業は歴史的な転換点を迎えた=2014年6月16日、フランス・首都パリ郊外(共同)【拡大】
「三原則と言うが、実は一原則。『輸出はだめだ』ということだった」。メーカー幹部は指摘する。
4月に政府が閣議決定した「防衛装備移転三原則」では、平和貢献・国際協力やわが国の安全保障に資するなど、一定の条件を満たせば輸出が容認された。
ユーロサトリへの出展を決めた富士通の山本正已社長は「三原則の緩和はポジティブに捉えている。部品レベルではチャンスがあると思う」と意気込む。政府の防衛予算が抑制される中、「軍需依存度の高い下請けは厳しい」(メーカー幹部)状況で、中小企業の期待も大きい。
2兆8000億円の市場
ストックホルム国際平和研究所の調査では、2012年の世界の武器輸出上位30カ国の輸出額は、合計で約281億ドル(約2兆8000億円)に達する。
もっとも、メーカーには「(輸出に)期待はしているが、国の政策が前提。直接営業活動を行うのは現実的ではない」(川崎重工業の松岡京平副社長)と、慎重な意見も少なくない。世論の反応が読めないうえ、「海外勢と対等に戦えるのかという懸念がある」(関係者)ためだ。