日本の防衛産業は政府しか売り先がない中、競争原理が働かなかった。性能や信頼性は高いが、コスト高や生産効率の低さなどいわゆる“ガラパゴス化”が指摘される。
規制緩和後の大型案件として注目される新明和工業の救難飛行艇「US-2」は、高さ3メートルの波でも着水できるなど高い性能が売りで、インド政府などが購入を検討する。ただ、自衛隊向けにしか生産しないため、価格は約100億円で、カナダのボンバルディアの救難飛行艇の倍だ。輸出が実現すれば、量産効果で価格が下がり、結果的にも防衛費の削減にもつながる。
「後戻りできない」
「日本の防衛産業は、競争力が低下している。(新三原則は)歴史的な転換であり、後戻りはできない」。防衛コンサルタント「グローバルインサイト」の長瀬正人社長は企業にも覚悟を迫る。
中国の台頭など安全保障環境が様変わりし、技術開発のスピードが加速。時代遅れの国産品ではなく、最先端の装備を海外から調達するケースも増えている。