最初は銀色だったものが、硫黄と熱を加えていくと「青貝色」といわれる青や、さらに「赤貝色」といわれる赤、そして最終的には黒へと変化していく。この化学反応による色変化を巧みに操り、職人は多彩な色や柄を表現していくのである。
こういった素材を総称して西陣では「箔」と呼んでいる。
素材の可能性
西陣織の帯という完成品の知名度に比べて、「箔」は一般にはほとんど知られてこなかった。この「箔」の可能性に着目したインテリアデザイナーの井上拓馬氏と私たちは、試行錯誤を経て、照明器具として「箔」をリデザインすることを思いついた。このアイデアに共感してくれた西陣織製造卸、田村屋の田村隆久さんが箔の職人を説得し、和風照明製造、三浦照明の三浦太輔さんが照明として見事に仕上げてくださった。