研究の一環として開発に取り組んだ食品を販売したり、アピールしたりする大学が増えてきている。
「大学が作った食品」というとイメージがわかなかった。だが、近畿大学が養殖した魚が食べられる料理店「近畿大学水産研究所」(東京都中央区)を訪れると、開店前から長い行列ができていた。客の目当ては、「近大マグロ」だ。近大マグロは、基本的に大学が、人工孵化(ふか)させた卵から成魚まで一貫して育てたクロマグロだ。開店30分前から並んだという女性は「前から来たかった。近大マグロは身が柔らかくておいしい」と満足げに話す。
近大は水産資源の保護などのため、クロマグロをはじめさまざまな魚の完全養殖について研究。2002年にはクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功、産業化の道を探ってきた。一般の人に広く研究成果を知ってもらおうとオープンしたのが、この店だ。提供される魚はほとんどが近大で養殖された「近大卒の魚」。ディナータイムは1カ月先まで予約でいっぱいだ。