FOMC後に示された経済見通しでは、2014年の実質国内総生産(GDP)成長率を3月時点の2.8~3.0%から、2.1~2.3%に引き下げた。しかし、これは厳冬の影響を受けた第1四半期のマイナス成長を考慮したもので、15年の見通しは3.0~3.2%、16年は2.5~3.0%と3月時点の数値が据え置かれ、経済の拡大傾向を改めて確認したかたちとなった。
気になる雇用の不安定
ただし、イエレン氏は米国経済の先行きを楽観的にみているわけではない。米国経済には金融危機後の経済低迷の中で職探しを諦めた人や半年以上も失業状態が続いている人の割合が高いといった不安材料もあるからだ。働く人々が減れば米国経済の地力が落ちるだけに、FRBにとって雇用状況の改善は重要な課題といえる。
イエレン氏は会見で「経済がさらに強くなれば、これらの人々が労働市場に戻ってくる」として、今後もゼロ金利を継続して経済拡大を下支えすることの重要性を強調した。金融緩和の継続に軸足を置く「ハト派」の立場で知られるイエレン氏は、足下の経済拡大よりも雇用の不安定さの方が気になるというのが本音のようだ。