ただし、こうしたイエレン氏の態度には、金融緩和縮小に前向きな「タカ派」の立場からは異論もある。米国の失業率はすでに6.3%まで低下しており、歴史的な平均値である5.8%との差が縮まっている。また(6月)17日に公表された5月の消費者物価指数が食品とエネルギーを除いた年率ベースで2.0%上昇となった。直ちに景気が過熱状態になる懸念があるわけではないが、「失業率も物価もFRBの見立てを上回るペースで改善している」(市場関係者)という指摘もある。
利上げ再開は来年前半か
また、イエレン氏が懸念する職探しを諦めるなどした人たちの問題についても、「さらに景気が回復したとしても、仕事に就くことはない」との指摘もある。経済環境とは無関係に高齢などを理由に職探しをやめたケースも多いためで、こうした分析が正しければ金融緩和の過度の長期化は雇用を改善させることなく、インフレ圧力を高めだけに終わる。