新型万能細胞とされるSTAP(スタップ)細胞の論文不正問題で、英科学誌ネイチャーは7月2日、理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)・研究ユニットリーダー(30)らが執筆した論文2本を取り下げたと発表した。著者による撤回申請を受け決定した。世界的に注目されたSTAP論文は発表から約5カ月で無効となり、研究成果は白紙に戻った。
取り下げたのはSTAP細胞の性質や作製法を記載し、理研の調査委員会が不正と認定した主要な論文と、細胞の万能性を詳述した補足的な論文の計2本。撤回により細胞が存在する根拠は失われた。
小保方氏は当初、撤回に反対していたが、理研の勧告を受け5月に補足論文、6月に主要論文の撤回に同意。小保方氏とともに反対していた米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授を含む著者全員が同意し、撤回申請していた。
STAP論文は小保方氏らが1月末、ネイチャー誌に発表。体の細胞を酸性溶液に浸すだけで万能細胞を作製したとする内容は「生物学の常識を覆す発見」と注目されたが、画像の流用や切り貼りなどの疑いがインターネット上で相次ぎ指摘された。