前回の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉閣僚会合は合意できぬまま閉幕。共同記者会見を前に言葉を交わす甘利明(あまり・あきら)TPP相(左)とマイケル・フロマン米通商代表=2014年5月20日、シンガポール(共同)【拡大】
≪年内合意か長期化か 今秋ヤマ場≫
カナダで交渉官会合を開くTPP交渉は、年内合意を目指して各国のせめぎ合いが続くが、対立が解消せずに長期化する恐れもある。11月には、交渉参加国の首脳が集まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議もあり、ヤマ場を迎えそうだ。今後のシナリオを予想した。
(1)年内
関係者の間では、交渉が最も円滑に進んだ場合、米中間選挙が終わった11月か12月に大筋合意に達するとの見方がある。まずは今回の交渉官会合で、知的財産などの難航分野を除いた分野が大きく進展することが前提だ。次回の事務レベル会合で難航分野に関しても政治判断できるまで論点を絞り込み、秋までに閣僚会合を開く。11月のAPEC首脳会議もにらみ、首脳が集まる機会を利用してTPP首脳会合を開き、一気に合意を目指すとの考え方だ。
米やシンガポールなどは、こうした筋書きの実現に期待する。米と利害が対立する立場の国としては、米側から思い切った譲歩案が示されることが早期合意の条件となる。しかし、米が中間選挙戦で不利に働きかねないような譲歩をすることは「現実的にはあり得ない」(交渉関係者)と冷めた見方もある。