前回の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉閣僚会合は合意できぬまま閉幕。共同記者会見を前に言葉を交わす甘利明(あまり・あきら)TPP相(左)とマイケル・フロマン米通商代表=2014年5月20日、シンガポール(共同)【拡大】
(2)来春
11月の米中間選挙後に事務レベルで譲歩案の策定に向けた具体的な動きが出始めれば、2国間での関税協議を含めた各分野の交渉が前進し、年明けに合意に向けた流れが加速する可能性がある。
オーストラリアのアンドリュー・ロブ貿易・投資相が6月、TPP交渉の合意時期について「来年前半に好機がある」と述べるなど、交渉参加者からも目標時期になり得るとの見方が広がりつつある。
ただ、日本にとって来年春は統一地方選の時期と重なる。農林水産業が盛んな地方では、TPP交渉の結果として、重要農産物の関税が大幅に引き下げられ安価な農産物が流入することへの警戒感が根強い。検討される譲歩案の中身によっては、地方選で与党側にとって逆風となる可能性もあり、政府は国内農家をどう説得するかをめぐり難しいかじ取りを迫られる。