台湾中部・台中市の盲学校を視察し、警護要員に囲まれながら視覚障害者の少女の手を引く張志軍氏(中央右)。張氏は訪台中、中国側の政策転換を反映して民衆との直接対話を重視した=2014年6月28日(田中靖人撮影)【拡大】
台湾紙、聯合報(れんごうほう)によると、張氏は6月26日、台湾の有識者らとの非公開会談に臨んだ際、台湾が昨年(2013年)、ニュージーランド、シンガポールと相次いで締結した事実上の自由貿易協定(FTA)に言及。「両国への市場開放の度合いの方が中国よりも大きいのに、なぜ反対運動が起きないのか」と疑問を呈した上で、中台間の問題の本質は経済ではなく相互の信頼が足りないことだとして、「それゆえに台湾人民の声を聞かなければならない」と述べた。
中国側の政策転換は、任期満了まで約2年を残す馬英九政権にとっても頭の痛い課題になりそうだ。馬英九総統(63)は1949年の中台分断後、初の中台首脳会談を開催することに意欲を示しており、今年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場を希望している。中国側が台湾当局を通さずに台湾住民との直接対話を進めることは、馬政権軽視とも受け取れ、会談実現はおろか、支持率10%前後で低迷する馬総統の存在感をさらに希薄化することにもなりかねない。台湾の与党、中国国民党に近い研究者ですら「習主席にとって、支持率の低い馬総統との首脳会談を急いで実現させるメリットは何もない」と指摘する。