【安倍政権考】
政府が7月4日、日本人拉致問題解決に向け、北朝鮮への独自制裁の一部解除を閣議決定した。北朝鮮の支配下にある在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)はホッと胸をなでおろしている。実は総連はこれまで水面下で経済制裁解除を目指し、日朝交渉が進展するよう政界工作を必死に展開してきた。5月24、25両日に東京朝鮮文化会館(東京都北区)で開いた総連の「第23回全体大会」では、与野党の政治家を招いて友好ムードを演出してみせた。このとき、拉致被害者の帰国を強く求めたり促したりする議員の発言は一切なく、総連の周到な対外工作を印象付けた。
友好関係アピール
関係者によると、全体大会には与野党5人の国会議員が来賓として出席した。大会は、総連の幹部人事や活動予算を決める最高意思決定機関で、2004年の第20回大会では、小泉純一郎首相(当時)の自民党総裁としてのあいさつが代読された。
今回の大会では与党から自民党の馳浩(はせ・ひろし)衆院議員が党五輪・パラリンピック東京大会実施本部長として出席し、「在日朝鮮人の皆さまが朝鮮の国家代表として東京五輪に参加することを願う」と発言した。さらに、公明党の遠山清彦(とおやま・きよひこ)衆院議員は「日本で生まれ、暮らすあらゆる世代と連携したい」と意欲を示した。