周辺は水を吸いやすくもろい「花崗岩(かこうがん)」と呼ばれる地質。東京農工大の石川芳治教授(砂防工学)は「大雨で崩れた土砂が沢を一気に下る土石流が起き、急な斜面や川幅が狭く威力が増した」と分析している。
この地区では過去に何度も土石流が発生。1966年には全壊・流失家屋約40軒の被害があった。連続雨量が約170ミリの集中豪雨だったという。今回も1時間あたり70ミリの大雨。「沢の水の濁りや山鳴りなどの前兆現象があった可能性もあるが、備える時間がなかったのだろう」。石川教授は推察する。
町が避難勧告を出したのは土石流発生の約10分後の9日午後5時50分。土砂災害警戒情報が出されたのはさらに遅れて午後6時15分で、宮川正光町長も「予測はできなかった」と話す。
土石流が起きやすい地形は全国に点在する。国交省によると、10日正午現在、山形や新潟など計9件発生しているという。土砂崩れは新潟、沖縄で計2件、崖崩れも山口や山形などで計27件確認された。石川教授は「大雨の際は沢や川から離れて避難するなどの意識を持つようにしてほしい」と話している。