そんなときに出合ったのが、日台合作の主演映画「南風(なんぷう)」(萩生田宏治(はぎうだ・こうじ)監督)。意に沿わない部署へ異動した26歳のファッション誌編集者、藍子(黒川)が、自転車に乗って台湾の名勝めぐりを楽しみながら、人生で本当に必要なものは何かに気づくまでの軌跡を丁寧に追ったロードムービーだ。
東京の出版社で働く藍子は、あまり気乗りがしないサイクリングイベント取材のため台湾へ。ひょんなことから、現地で道案内を買って出た16歳のモデル志願の少女、トントン(テレサ・チー)とイケメンのユウ(コウ・ガ)とのサイクリングの珍道中が始まる。
恋にも仕事にも行き詰まり、悶々とした日々を送る藍子役を得たことで、俄然(がぜん)やる気が出た。「出合うべくして出合った映画だと感じています。藍子も26歳ということで、共感が持てます。また、私にとって初の海外撮影ということで、撮影後に一つ大きくなって帰ってこられればいいなとも考えました。結果的に相当思い入れの強い作品となりました」