カメラを手に持って歩けば、常に周囲の人が「気をつけて」と注意を促し、市場に行くと「あの店の主人はだますから気をつけな」とこっそり教えてくれる。市民による監視の目が、観光客の安心感につながっていた。
コロンビア南部、アンデス山中の奥深くにあるシルビアという村の周辺に、顔つきや背格好がペルーやボリビアの先住民とよく似た、「グアンビアーノ」という民族が住む。インカ帝国がこのエリアまで拡大していたときに、ボリビア辺りからやってきたという説もあり、本当だとしたら途方に暮れるような距離を歩んできたことになる。
現在グアンビアーノ族の女性は、鮮やかな青紫のショールとおかっぱ頭、男性は青紫の巻きスカートが特徴的で、男女ともに民族衣装を着ている割合がとても高い。毎週火曜日に行われる市場にシルビアまで足を運ぶと、野菜などを並べて女性たちが地べたに座っていた。その前まで滞在していたボゴタの都会的な喧噪(けんそう)とはまるで別の世界が広がる。同じ国でまったく異なる文化を体験できるのも、南米旅行の醍醐味(だいごみ)の一つだ。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)