約150年ぶりに山鉾巡行(やまほこじゅんこう)に復帰して、町内へ凱旋(がいせん)する大船鉾(おおふねほこ)。鉾に乗り込んだお囃子(はやし)方は扇子を大きく振って声援に応えた=2014年7月24日午後、京都市下京区四条町(田中幸美撮影)【拡大】
これに危機感を持った若手が中心となってお囃子の復活を模索した。町内だけでなく広く一般にお囃子のメンバーを募集して取り組み始めた。町内の長老たちは「どうせ2、3年で諦めるだろう」とたかをくくり、若手は「お囃子を復活させたら居祭ができる」と信じてのことだったという。
岩戸山(いわとやま)の囃子方に手ほどきを受けてめきめきと上達、オリジナルの曲を作るなどしてレパートリーは約30曲に。連帯感も生まれ、次第に町内の神事全般に関わりたいという者も出てきた。
2007(平成19)年、大船鉾のご神体や舵、前掛けや水引きなどの懸想品計121点が市の有形民俗文化財に指定されたことをきっかけに居祭が復活。この頃から鉾の再建が話題に上り始めたが、町内で意見がまとまることはなかったという。