約150年ぶりに山鉾巡行(やまほこじゅんこう)に復帰して、町内へ凱旋(がいせん)する大船鉾(おおふねほこ)。鉾に乗り込んだお囃子(はやし)方は扇子を大きく振って声援に応えた=2014年7月24日午後、京都市下京区四条町(田中幸美撮影)【拡大】
しかし09年、転機が訪れた。「京都祇園祭の山鉾行事」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、大船鉾も含まれたのだ。これが再建・復活を大きく後押しした。市が大船鉾の模擬鉾を展示する計画を持ちかけたのだ。本物を作ろうという機運が生まれ、そこからはとんとん拍子だった。150年目の節目の14年に復帰する目標も掲げた。
市内の経済団体が船の屋形部分や木組み部分を、菊水鉾(きくすいほこ)保存会は車輪や車軸などの足回りを寄贈。さらに、全国からも1000件を超える寄付が寄せられた。そして12年にはご神体を木製の箱に入れて巡行する唐櫃(からびつ)巡行を行い、復興への足掛かりとしたのだ。
「ただ鉾を造っただけではありません。人と人とのつながりがあってできた。鉾の再建で絆が生まれた」と松居さん。時代の荒波をくぐり抜けてよみがえった大船鉾は、これから新たな歴史を刻んでいく。(文:田中幸美(さちみ)、写真も/撮影:安元雄太、恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)