ベネッセコーポレーションで発覚した個人情報の大量漏洩(ろうえい)事件は、情報保護の不備を改めて浮き彫りにした。ベネッセでは最大約2070万件が漏洩した可能性があると説明しているが、漏らされた側の顧客には結局、何らの救済措置もないまま事件がうやむやになってしまうのではないか。
この事件から導き出された教訓は、内部の情報管理強化と個人情報の不正売買に対する罰則強化なのは言うまでもない。ただ、大事なのは個々人が自分の情報がダダ漏れになっている実態を深刻に受け止め、自ら情報を管理する社会システムの構築に向けて声を大にしなければならないということだ。
まず、自分のどのデータを誰が使っているのか、何に使っているのかなどを、個人がいつでも把握できる環境整備が必要だ。そして場合によっては、その個人情報を使うのをやめさせる手立てがきちんと整っていることが重要である。
現行の個人情報保護法では、情報の利用に原則本人の同意が必要であるとしながら抜け穴がある。個人情報を第三者に提供することをうたい、それを拒否する手順などをあらかじめホームページなどで明示すれば、同意を得なくても利用できるという例外規定がそれだ。この規定が拡大解釈されて、個人情報が勝手に流用されたり、売却されたりしているのが現実である。