バキバキと猛烈な雷鳴のする中をびしょ濡れになりながら進み、何とか狩小屋にたどり着いた翌日のこと。
「おい、雷に打たれた木があるぞ」
猟師のワーニャが叫んだ。舟を向けた川岸に、真っ二つに幹が裂けたドロノキがあった。
≪激しく気まぐれな野生と向き合う≫
ひときわ激しい雷鳴が響く時、きっと地上のどこかに雷が落ちているのだろう。だが実際にその現場を見るのは、僕は初めてだった。
日本の山でも過去に雷に打たれて登山者が亡くなった事故がある。立木や家に雷が落ちて火災になったり、稲妻が部屋を走って電化製品がすべて壊れてしまった話も聞く。一瞬で生きた立木さえ引き裂いてしまう雷の力は、想像以上に激しい。
そして無数の樹々が立ち並ぶ川辺で雷に当たったドロノキを見ていると、その威力と同時に、何とこの木は運が悪かったのだろうと思った。