旧市街から新市街に向かうバスに乗車中、急に運転手の男性が大声で「窓とドアを閉めろ!」と、車掌役の少年に怒鳴った。突然緊張に包まれる車内。乗客も含め一斉に指示に従った。何が起きたのかと外に目をやると、10代後半から20代前半の少年グループが闊歩(かっぽ)している。彼らの横をバスが通り過ぎると「よし。開けていいぞ」。運転手から安堵(あんど)の声が聞こえた。窓もドアも閉めて警戒するなんて、最悪の事態を考えるとぞっとする。リマ発の長距離バス会社も、安全対策のために搭乗口で乗客全員の顔写真を撮影していた。一言では語れない、リマ市民の生活がそこにはあった。
≪「50年後に島民はいないだろう」≫
大都会リマだけでなく、アマゾンの熱帯雨林、アンデスの高地と、日本の約3倍強の面積を持つこの国の風景は多様性に富んでいる。ペルー南部、ボリビアとの国境にまたがるティティカカ湖もその一つ。ティティカカ湖は15世紀頃に栄えたインカ帝国の神話に登場する初代皇帝マンコ・カパックが生まれた湖ともされる。標高約3800メートルの高地で、山々に囲まれてアンデス山脈をくだった雪解け水をひっそりとたたえているその姿は、神々しくもある。