5月末に斎藤理玖ちゃん=死亡当時(5)=の白骨遺体が発見されたアパートの部屋の前に備えられた花やお菓子。2008年春には小学校にも入学しなかったのに発見できなかった児童相談所などの対応が問題となった=2014年6月23日、神奈川県厚木市(岩崎雅子撮影)【拡大】
虐待から子供を守るため親権を最長2年停止できる親権停止制度に基づき、児童相談所長が家庭裁判所に親権停止を申し立てた事案は16自治体で23件あった。制度が創設された前年度より4件少なかった。23件のうち保全処分も含めて親権停止が認められたのは15件。他は取り下げが5件、審理中が3件。
認められた事例では、白血病の子供の輸血を両親が拒んだり、施設で暮らす子供の腎機能が悪化し腎臓移植に向けた登録をしたのに、保護者が取り消す手続きをしたりといった医療ネグレクト(放棄)のほか、父親や同居男性から性的被害を受けたケースなどがあった。
≪児相職員「子供のためにもっと…」 立ちはだかる現実≫
児童相談所が2013年度に対応した児童虐待件数が7万件を超えたことが8月4日判明。今年5月に発覚した神奈川県厚木市の男児放置死事件をきっかけに、置き去りや所在不明児の問題も浮かぶ。「一人も埋もれさせない」。子供の命を守る最前線で児童福祉司ら職員は奔走しているが、年々増え続ける件数に悲鳴が上がる。「子供のためにもっとしてあげたいが、できない現実がある」。葛藤を抱えながら、子供たちと向き合う児童相談所職員の一日に同行した。