5月末に斎藤理玖ちゃん=死亡当時(5)=の白骨遺体が発見されたアパートの部屋の前に備えられた花やお菓子。2008年春には小学校にも入学しなかったのに発見できなかった児童相談所などの対応が問題となった=2014年6月23日、神奈川県厚木市(岩崎雅子撮影)【拡大】
学校の先生になりたい
午後1時前、事務所に戻ると電話が鳴った。「自宅で親の暴力を受けた生徒が助けを求めている」。連絡してきた高校に職員2人と向かった。
高校で車に乗り込んできたのは女子生徒(16)だった。親類宅に泊まったことをとがめられ「殺してやる。産まなきゃよかった」と母親に怒鳴られ、「やめて」と叫んでも蹴られ続けたと、児相に向かう約25分間、険しい顔で説明した。
「あなたがお母さんになったとき、同じような虐待を子供に繰り返さないように、助けたい」。職員がこう語りかけると、女子生徒は親からの報復を恐れて拒んでいた一時保護所への入所を承諾。「学校の先生になりたくて一生懸命勉強している」と話した女子生徒は、制服のまま一時保護所へ向かった。
この児相では2010年度まで300件前後で推移した年間の虐待相談が12年度以降は500件に迫っているが、虐待相談に対応する人員は10年度から増えていない。ある職員は「緊急事案を優先し、他に手が回らなくなるときもあるが、厳しい現実に直面する子を一人も埋もれさせられない」と決意を口にした。(SANKEI EXPRESS)