「どんなに悪いことをした人も、人間っぽく、愛すべき存在として描く。三谷作品のそんなところが好きです」と語る、女優の竹内結子(ゆうこ)さん=2014年7月15日、東京都新宿区(小野淳一撮影)【拡大】
「家族や大切な人を思いやる気持ちはあるけれど、正直でいる勇気はない。ごまかしを言ったそばから、あちゃー、そんなつもりじゃなかったんだけれどなー、って後悔するんです。一つ嘘をついたら、つき続けないといけない、その怖さも感じます。見ている人は、ああ、ここで本当のことを…とあゆみの背中を押したくなったり、この人ダメだわぁ、という気持ちになるんじゃないでしょうか」
1995、97年に山田和也演出で上演され、再演が待たれた人気戯曲。読んでみて「ゲラゲラ笑った」というが、「その中に入り、演じるとなると別。ちょっとした掛け違いでどんどん物語が転がっていくので、その間合いの取り方など、難易度は高いです」と、自身の演技を語ったとたん真剣なまなざしになった。
最初は「ダメ出し」という演劇用語に「どれほど否定されるんだろう」とビクビクしたそうだが、「毎日みんなが稽古場に集まってきて、ヨガマットを並べてストレッチから始める、この温かい雰囲気や、一つずつ積み上げてものづくりする感じが好きですね」。時代を代表する女優の一人となってもなお、新たな挑戦を楽しそうに語ったのだった。(文:津川綾子/撮影:小野淳一/SANKEI EXPRESS)