京都府の南山城地域に位置する城陽。「青谷の梅酒」でも有名な梅の名産地でもあるこの地は、京都を代表する文化産業の「西陣織」を支える重要な素材、「金銀糸」を生み出してきた。今も全国の生産量の80%を南山城地域で、そして城陽で50%が生産されている。「RE-DESIGN ニッポン」の第4回は、金銀糸の発展と衰退、そして再び輝きをはなとうとしているこの素材を取り上げる。
水が支えた西陣織の素材
金銀糸は古くから高級衣服に用いられてきたが、城陽での生産は江戸時代に始まった。第2回で取り上げた「引箔」は、金箔や銀箔を漆で和紙に貼り付け、それを細く裁断したものであり、「平糸」とも呼ばれる金銀糸の一種である。この「箔」を芯となる絹糸などに巻きつけて撚りをかけ、強化した糸が「撚金糸」であり、現在城陽で作られている金銀糸の主力となっている。この金銀糸は、和装を中心に、織物や刺繍などに用いられてきた。