災害公営住宅の建設現場で、説明を受ける安倍晋三(しんぞう)首相(左から3人目)。岩手、宮城、福島の3県では、いまだに約9万人もの被災者がプレハブ仮設住宅での生活を余儀なくされており、工事の加速化は喫緊の課題だ=2014年7月2日、岩手県上閉伊郡大槌町(共同)【拡大】
しかし、13年度の復興関連予算の「執行率」は64.7%にとどまり、一部で復興の遅れが指摘されている。着工前の契約済み事業や契約見込みの事業を織り込んだ事実上の未執行率に当たる「不用率」は、13年度で9.2%と前年度比で3ポイント改善しており、政府関係者は「会計上の数字に表れない数値もある」(政府関係者)と反論するが、実際の着工が欠かせない。
さらに、災害公営住宅の建設に必要な建設資材や人材の確保が今後の深刻な課題となってくる。復興庁は入札方式の見直しなどにより改善を続けるが、20年の東京五輪開催に向けて需要が高まれば、東京へ資材や人材が流出してしまうリスクも強まる。
政府・与党は10月の福島県知事選や来春の統一地方選をにらみ、目に見える形での復興を実現させたい考えだ。安倍晋三首相(59)は第2次政権発足から17回も被災3県を視察し、被災者の声に耳を傾けてきた。その声を反映させるためには、乗り越えるべき課題は多い。