安倍晋三首相(59)は5月6日、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で基調講演を行った。中国などを念頭に非加盟国や新興国に、公正な競争ルールを広げる必要性を強調。欧州連合(EU)などと多角的に経済連携協定(EPA)交渉を加速させる決意を表明した。閣僚理事会では、少子高齢化が進む中、世界経済の成長を持続するために女性や若者、高齢者の雇用を促進することや、能力開発を通じて格差拡大を防ぐ必要性が議論され、OECDに加盟して50周年となる日本が36年ぶりに議長国を務めた。
中国を牽制
安倍首相は基調講演で、2020年までに社会の指導的地位の3割を女性が占めるとの目標を日本が設けたと説明。仕事と生活のバランスに考慮して労働制度を見直し「女性が輝く社会をつくり上げる」と表明した。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉について「最終局面にある」と説明。日本とEUのEPAについて「一日も早く成立させるべきだ」と訴え、「基本的な価値を共有する国々と、公正なルールの下で競争が確保される大きな経済圏をつくり上げる」と新たな経済秩序の構築に意欲を示した。同時に、台頭する中国など新興国を念頭に置きながら、「その経済圏に参加を望む国も増えるだろう。ただし、新たな経済秩序に賛同してもらわねばならない」と指摘した。