ところが、こうしたトリッキーな劇構造ながらも、マニアックで難解な作風に陥らず、誰にでもわかりやすい「笑い」にまで昇華されているのがヨーロッパ企画の大きな魅力。その秘訣(ひけつ)は、上田が描いたストーリーをもとに、立ち稽古で劇団員がせりふやアイデアを出し合い、積み上げていくエチュード(即興劇)形式の劇作にありそう。
「僕固有のテイストを突き詰めすぎるととっつきにくい物語になるかもしれないけれど、稽古場でみんなで作るうちに、みなさんに愛される形に着地するのが集団作業の面白さ」と上田はいう。また稽古場での共同作業や、稽古後の食事会を通じて知った役者の人間性や関係性は、そのまま役柄に反映されることが多いという。「そうするとドキュメンタリーと劇が混ざったようなものができてくるんです」
やはり上田は優れた人間観察者であるようだ。(津川綾子、写真も/SANKEI EXPRESS)