広島地方気象台は19日午後9時25分、最初の大雨警報を発表。県などは20日午前1時15分に大雨による土砂災害の危険が高まったとして、広島市と廿日市市(はつかいちし)に「土砂災害警戒情報」を出していた。
最初の119番通報は午前3時20分ごろ。安佐南区山本で土砂崩れがあり、「男の子2人が生き埋めになった」との通報があった。広島市は午前3時半ごろに災害対策本部を設置し、広島地方気象台は午前3時50分ごろ、「記録的短時間大雨情報」を発表したが、このころには被害が広がっていたとみられる。午前4時20分ごろ、安佐北区で根谷川が氾濫。市対策本部は浸水の恐れがある安佐北区の4地区に避難勧告を出した。安佐南区で避難勧告が出たのは最初の通報から1時間以上たった午前4時半ごろだった。
通常と同じ当直態勢
広島市内では19日夜から激しい雨が断続的に降り続いたが、市内8消防署の当直態勢は通常と変わらない約330人だった。市消防局の金山健三危機管理部長は「分析を誤ったのは間違いない。災害が起きる前に避難勧告を出せず遅かった。見直しの必要がある」と話した。
一帯は、水を含むと強度が低下し崩れやすくなる「まさ土」という地盤の山地を切り開いた場所に、新興住宅地が広がっている。国土交通省が集計した土砂災害の危険性が高い場所は、広島県が約3万2000カ所と全国最多だった。1999年6月の豪雨でも同じ地域で土砂災害が発生、水害も含め県内で32人の死者・行方不明者が出た。
岩手大の井良沢(いらさわ)道也教授(砂防学)は「降り続いた雨で水分が含まれていたところに急激に大量な降雨があり、一瞬で崩壊したのではないか」と分析している。(SANKEI EXPRESS)