8月19日深夜から20日未明にかけて局地的な豪雨に見舞われた広島市安佐南区(あさみなみく)、安佐北区(あさきたく)の広範囲の各所で土砂崩れや土石流が発生し、多数の住宅がのみ込まれた。広島県警によると、兄弟とみられる11歳と2歳の男児や消防隊員を含む36人が死亡し7人が行方不明となっている。一帯の山地は、花崗(かこう)岩が風化した「まさ土」と呼ばれるもろい地質でできており、短時間に降った大量の水を含み一気に地盤の表面が崩れる「表層崩壊」が起きたとみられる。住民への避難勧告は最初の土砂崩れの通報から1時間以上後に出され、対応の遅れも被害を拡大させた。
3時間で降雨217.5ミリ
気象庁によると、日本海にある前線に向かって南から流れ込んだ暖かく湿った空気が中国山地にぶつかって上昇気流が生じ急激に積乱雲が発達。安佐北区では20日午前1時半から3時間の降雨量が観測史上最大の217.5ミリを記録した。ビルが並ぶように積乱雲が連続的に発達する「バックビルディング」と呼ばれる現象が発生した可能性が高いとみている。