このまま粘ればきっと他の観客もつられて立ってくれるはずだと、私は背中に数百人の冷ややかな視線を感じながら、外国の俳優たちに素知らぬ顔で拍手を送り続けた。ところがやはり、2回目のカーテンコールになっても、誰も立とうとしない。タイミングが悪かったのかもと、流れる音楽にあわせ、体をいかにも「さあ、立つなら今ですよ」と揺すったりもした。誰も立たない。皆、私のことなど見えていないのではないか。私は必死で全身を動かした。そのうち、自分がもうすぐ「海底の一粒感」に飲み込まれるのだと分かった。ちっぽけな砂粒。そうだ、自分なんてちっぽけな砂粒なのだ、と。
初めての「揺れるわかめ感」
――が、その時、予想に反することが起きた。私の中にさっと芽生えた感情、それは「海底の一粒感」などではなかった。
それは初めての感情、「海の中でダシを出そうと、ひらひら揺れるわかめ感」だった。