大好きな曲の本当の意味
さて、彼らのライブ映画におけるハイライトを1曲挙げろといわれたら、『Once in a life time』になるだろうか。ブライアン・イーノとつくった最後のアルバムとしても知られる『Remain in Light』(※2)。トーキング・ヘッズを代表するアルバムの4曲目。サビの抜け感が珍しく爽やかで、歌詞もよく分からないまま車の中で熱唱したりしたものだ。
だが先日、町山智浩の『本当はこんな歌』(※3)を読んで、この曲の意味を知り驚いた。この本は、僕らが普段、音としてしかとらえておらず「ふふふーん」と適当に口ずさんでしまう名曲たちの歌詞が訴える「本当のところ」を教えてくれる、ありがたくも少しがっくりくる1冊なのだが、まさか『Once in a life time』が「中年の危機」を迎えたおじさんのノスタルジーソングだったとは…。サビの部分でバーンが歌っていたのは、ふと立ちどまって人生を見返したときの違和感。もっとしゃれた曲だとばかり思っていたのに。