けれど、インターネットがなかった当時は、必死で雑誌の細かなキャプションまで読み、間違えたり、肩すかしをくらったりして、何とか自分の好きな世界を形づくっていた気がする。もちろん、ネットの世界は便利なのだけど、自分の芯をつくるには、よこしまでも何でも、自分の体が反応したものを素直に、愚直に追い続けるしかないと思うのだ。(ブックディレクター 幅允孝(はば・よしたか)/SANKEI EXPRESS)
■はば・よしたか BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。人と本がもうすこしうまく出会えるよう、さまざまな場所で本の提案をしている。
(※1)ジョナサン・デミが監督を務める本作だが、実は撮影も『ブレードランナー』のジョーダン・クローネンウェスが担当。アスリートのように体を駆使して唄い、踊るバーンのパワーを感じられる映像はさすがの一言。
(※2)軽快なアフリカン・ビートで始まるこのアルバムはトーキング・ヘッズを世に知らしめる契機となった名盤。サポートメンバーで、後にキングクリムゾンのメンバーになるエイドリアン・ブリューの変態的なギターも必聴。
(※3)当時の社会背景なども考慮することでその歌の本来の姿を浮かび上がらせる。「ラブソングだと思っていた曲が実はストーカーの心理を歌ったものだった」なんて悲しい事実も。アスキー・メディアワークス、1080円。