ちなみに町山のこの本は、フットボールスタジアムで僕が意気揚々と唄っているホワイト・ストライプスの『Seven Nation Army(七国軍)』は、メンバーの片割れであるジャック・ホワイトが子供の頃「救世軍(サルベーション・アーミー)」を聞き間違えて出てきた言葉だなんてことも伝えてくれる。レディオヘッドの出世曲『クリープ』に関しては、ライブ会場で何万人もが「僕はキモい、僕はイケてない」と合唱していることなんだとも教えてくれる。「知る」って恐ろしいことですね。
でも、僕はやはり知ることを止めたいと思わない。知らないことが幸せだとも思わない。不思議なことかもしれないが、ものを1つ知るたびに、疑問は2つ以上湧いてくるものだ。だけど、疑問と向き合い続ける毎日が、僕はたのしい。すぐに答えを求められがちな世の中だけど、考え続けること自体が面白いから僕は本を読んでいる。多分。
体が反応したものを追い続ける
今回の原稿はあえて固有名詞をたくさん入れたから、読み難くて仕方がないかもしれない。けれど、モテたくてデヴィッド・バーンに心酔した20年以上も前の僕は、そのバーンの糸をたどりながら、たくさんの彼らの仕事を知り、多くの映画や本や人物に出くわした。最近は外部記憶が発達し過ぎているから、困ったらグーグルに尋ね、分かったら忘れてしまうよう脳みそが習慣づけられている。