実録の記述により、連日の本土空襲や原爆投下などで終戦の意向を強めた昭和天皇が、ソ連参戦で万策尽きたと判断。これ以上の犠牲を広げないため、即時終戦に向けた動きを主導した当時の様子が明らかになったといえる。
また実録では、幼・少年期の手紙や作文を初めて公開。初出のエピソードも多数盛り込まれた。
一方、即位後の政治的発言や側近らの謁見内容が明かされないことも多く、編纂(へんさん)方針をめぐり議論を呼びそうだ。
≪終戦でリーダーシップ 抗戦求める陸軍を説得≫
「昭和天皇実録」では、昭和20年8月15日の終戦に向け、昭和天皇がリーダーシップを発揮していた様子が、宮中側近や閣僚らの謁見内容などから改めて浮き彫りになった。昭和天皇は戦時中、陸海軍上層部から連日報告を受けており、悪化する戦況を詳細に把握していたことが、終戦の「ご聖断」に結びついたといえそうだ。